POC療法の可能性について~ 自然由来の素材で癌退治のソリューションを提供 東大医学部河村医師

私がPOC(Plant-derived Organic Carbon、植物由来の有機性の炭素)を紹介されたのは2年前でした。

POCの性質、動植物に使用した時のデータなどを調べていくうちに、医師としてその可能性に非常に興味を持ちました。

 

 「この素晴らしい素材を知る人ぞ知るものとして終わらせてはいけない」

 これこそが私がPOCに感じたファーストインプレッションでした。

化学物資ではない「POC」とは

 POC(Plant-derived Organic Carbon)の大きな特徴の一つは、化学物質ではないということです。

 

 POCを用いた療法は、植物由来の有機性の炭素を20ナノメートル以下という細かいサイズに粉砕し、それを軟水に溶かしたものを利用します。
20ナノメートルという極小サイズなので、体の隅々の細胞まで血流を通じて届けることが可能になるのです。

 

 20ナノメートルというサイズがピンとこないと思いますが、インフルエンザウイルスが100ナノメートル程度ですので、それよりも小さい、1/5程度の大きさ、ということになります。

 

 がん治療に使う抗がん剤は化学物質であり、使用すると早い段階で副作用が出る場合があります。
しかしPOCは化学物質ではないため、正常な細胞を活性化しながら体を元気にする、いわば「天然の抗がん剤」としての効果が期待されている素材です。

 

POCに出会うまでの医療活動

私の父は医師として縁があって中国に渡り、初の中日友好病院の創設などに関わるなど、長年医療活動に携わってきました。
その関係で、私も医師免許取得後は、上海の大学病院の外科医として従事していました。

 

 ボランティアでへき地医療に従事する父の背中を見て育ちましたので、父の引退後は私がその意思を引き継ぎへき地の医療活動をすることは自然なことでした。

 

 さらに、世界で困っている人々の役に立ちたいという思いから、国際医療機関にも所属して、中東やアフリカの紛争地域の医療活動にも従事してきました。1年の半分近くはそのような活動を行う生活を続けてまいりました。
それが、私にとって医師として社会貢献できる喜びであり、自分の自己実現の場でもあったのです。

 

 ところが2017年、突然のアクシデントに見舞われます。アフリカの紛争地域に従事している際に、大きな怪我を負ってしまいました。
外科医として復帰するのにしばらく時間を要することになり、「病気や怪我で困っている人を助けたい」「紛争地域など日本や中国の平和な地域に住んでいる人には無縁の、苦難にあえぐ人々を医療で支えていきたい」というこの思いをどう実現していくのか、私は期せずしてしばらく立ち止まる時間を授かることになったのでした。

 

POCの研究に従事

しばらくは外科手術を行えないという状況の中で、私はアフリカに赴く前に紹介されていたPOCを世に広めていくための科学的実証研究を行うことに力を注ぐことを決意します。

 

 POCを世に広め、がんに苦しむ患者さんを助けることができれば、国際医療機関に従事していることと同じくらいの社会貢献ができるのでは?と思ったからです。

 

 POCについてはすでに安全面の検証は日本食品分析センターで種々のテストが実施されていました。
ところが動物のがんなどに対する効果は、相当数の実例から期待されていたものの、科学的なエビデンスが示されていないという状況でした。

 

 これだけの効果が見込まれる素晴らしい素材を、知る人ぞ知る存在で終わらせてはいけない。
その思いを形にするため、私は日本に帰国しました。

 

 まずは上海の大学病院から来日していた先輩医師と後輩研究員に連絡を取り、POCを紹介しました。
彼らは東京大学医学部でがんの研究を行なっていたので、大変興味を持ってくれました。

 

 簡易テストで好結果を得たことから、2018年4月、正式にPOCの抗がん効果への研究が東京大学医学部肝・膵外科にて開始されることになりました。
私自身も主任研究員として、この研究に参加させて頂いてます。

 

POC研究の目的

POCの抗がん効果を確認し、「なぜPOCがガンに効果があるのか」、それを解明するのがこの研究の目的です。

 

 東大医学部の研究によって、人のがん細胞に直接POCを使用し、抗がん効果の有効性が改めて実証されてきています。
2019年5月には、POCの抗がん効果や抗がん剤(医薬品)のがん細胞への優れた運搬機能(ドラッグデリバリーシステム)についてまとめた論文が世界向けの医療ジャーナルに投稿されました。

欧米の医療ジャーナル

Summary

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 とはいえ、これはまだ序章にすぎません。

東大医学部での研究は「ヒトの癌細胞」に直接POCを使用した結果を論文にまとめており、この結果は素晴らしいものではありますが、がんへの効果がわかっても、「なぜがんに効くのか」ということが解明されなくてはなりません。
また、解明されたとしても、動物実験や人体臨床などのマイルストーンは続き、医薬品化への道は長い年月が必要です。

 

 しかし、私がPOCを知った当時には科学的なエビデンスが存在していなかったことを考えると、その実証試験の結果が世界に向けて論文として発表されたということは、これから研究を進めていくにあたり、とても大きな一歩となったことは間違いありません。

 

 また、この段階においても、犬や猫へのがん治験には貢献できるだろうと考えています。

 

POCによる免疫細胞の活性化

もう1つ、注目すべき実証結果があります。

それは、POCによって免疫細胞を活性化するというとても興味深い研究結果です。

 

 東大での実証研究では、がん細胞にPOCを投与するのと並行して、免疫細胞にもPOCを投与し、比較検討してきました。
その中で、POCが免疫細胞を元気にする働きを持つことが判明しました。

 

 がん細胞は健康な人の体にも毎日生まれているのですが、免疫細胞が本来の働きをしていれば、がん細胞は増殖しません。

しかし、免疫細胞が弱まってしまっているとがん細胞の増殖が抑えられず、がんになるわけです。

 

 ということは、免疫細胞が元気になればがん細胞の増殖を抑えることができて、戦う力が復活します。
これも立派な抗がん作用であるといえるでしょう。

 

 免疫細胞の活性化は、抗がん効果だけでなく、いろいろな病気の予防や治癒改善に効果が期待できるものです。
病気になってから治療するのではなく、健康な段階からPOCを摂取することによって病気が予防できるなら、素晴らしいことだと思いませんか?

 

 

POCの可能性と治験

今私たちは、POCがなぜがんに効くのか、その抗がんメカニズムを引き続き研究しています。

将来的にはその後の免疫細胞を含めた正常細胞の活性化のこのメカニズムを解明し、次の臨床のステージにつなげていくことは、私たちの使命であると考えています。

 

 人のがんに対して処方されるようになるには、これから更なる研究を経て様々な臨床検証も必要になりますが、少なくともPOCの抗がん効果が科学的に証明された以上、さらに研究を進め、少しでも社会に貢献できることを願っています。

 

 ただ、そこまではまだ年月が必要です。
その間は、がんに罹患した犬や猫に対して、理解ある獣医師の先生と連携し治験を進めていけるなら素晴らしいことだと思います。

 

 また、予防医学の観点からは、免疫細胞の活性化を目的としたPOCの利用も検討に値するでしょう。

 

 このブログはガンで苦しむ愛犬、愛猫をお持ちの飼い主さんに対して、とても有意義な情報を提供していると私は考えています。

 

 さらに、免疫力の向上にサプリを使うことの重要性が多くのコラムの中で記載されていますが、飼い主さんがPOCのご利用を検討される良い機会になっていると思います。

 

 ぜひ、POCを用いた療法の治験を、共感する獣医師の先生の指導のもと、試してみてはいかがでしょうか。

 

東京大学医学部外科化学共同研究室

主任研究員・医師 河村康之先生 寄稿

■1974年8月生まれ
■早稲田大学で心理学を専攻
■復旦大学上海医学院(旧上海第一医科大学)卒業
■国際医療機関所属
■2018年4月POCの抗がん効果への研究を東京大学医学部肝・膵外科にて開始