【獣医師監修】猫白血病ウイルス感染症 余命・症状・治療法を徹底解説

  記事監修
  獣医師 西村 美知子 ブルーミントン動物病院院長
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)卒業後、東京都武蔵野市吉祥寺で開業、2009年に現在の 東京の西荻窪に移転。 自然療法中心の病院です。検査から治療まで、精神的にも身体的にもストレスをできるだけかけずに動物さん個々が本来持つ「治癒力」が動き出すよう、様々な 自然療法をご提供しています。

猫白血病ウイルス感染症ってどんな病気?

猫白血病ウイルス(FeLV)感染症は、猫白血病ウイルスの感染症によって引き起こされる病気です。

FeLV感染症になるとさまざまな病気のリスクが高くなり、それらの病気によって寿命が短くなってしまいます。

完治できない病気を発症してしまうことも多いですが、できるだけ早期発見/早期治療をすることで、少しでも元気に長生きすることが可能になります。

 

FeLV感染症の猫を飼っている飼い主さんは、以下のような病気に注意するようにしてください。

 

原因

猫白血病ウイルス感染症は、猫白血病ウイルス(Feline Leukemia Virus:FeLV)に感染することによって発症します。

感染経路は、おもにFeLV感染猫とのケンカによる咬傷感染ですが、このほか、FeLV感染猫とのグルーミングや食器の共有などによって唾液を介して感染したり、唾液、鼻粘膜、糞、乳、尿からも感染します。

また、母子感染(垂直感染)が起こることもあります。

 

症状

猫白血病ウイルス感染症になると、初期症状として、発熱、元気がなくなる、全身のリンパ節が腫れる、貧血を起こすなどの症状が見られ、これらが通常1週間~数か月続きます。

 

その後、症状がいったん治まったように見え、中には完全に回復する猫もいます。

しかし、完全な回復に至らなかった猫では、体内にFeLVが潜伏し続けます。

 

リンパ腫

FeLVで最も多く見られる病気の一つで、若いころに胸の中にできる縦郭型リンパ腫があります。

口を開けて呼吸したり、呼吸が速い、荒いなどの症状がある場合は、縦郭型リンパ腫による胸水貯留の可能性が高いです。

一般的に1歳以下の若い猫で起こることが多いので、FeLV感染症のある若い猫では呼吸状態に注意してください。

リンパ腫は他にも全身の体表リンパ節が腫れる多中心性リンパ腫や胃腸にできる消化管型リンパ腫などもあります。

体にしこりがないか、下痢や嘔吐がないかも注意して見ておきましょう。

 

白血病

名前の通り、FeLVは白血病を起こす可能性のあるウイルスです。

白血病は骨髄の中で腫瘍細胞が増える病気であり、白血病を発症してもそれが目に見える訳ではありません。

ただし、白血病により白血球増加症、白血球減少症、貧血、出血傾向、感染症などが発生することが多く、その場合は元気・食欲の低下、発熱などの全身症状が出てきます。

正常なリンパ球(白血球の成分の一種)が減れば減るほど免疫力が低下しますので、原虫、寄生虫、ノミやダニといった通常であれば病原性が低い外的にも抵抗できなくなり、日和見感染を起こしやすく、トキソプラズマ症やクリプトコッカス症、ヘモバルトネラ症に感染します。

 

またヘルペスウイルスやカリシウイルスといった病原性ウイルスへの抵抗力も落ち、感染症にかかりやすくなります。

 

貧血

FeLVが骨髄に達すると、そこにある造血幹細胞に感染することによって、血液細胞の正常な分化を妨げるようになります。

このようにして発症するのが、血小板減少症、好中球減少症、そして赤血球異常による再生不良貧血です。

貧血に罹った猫では歯茎が白っぽく変色します。

 

難治性の口内炎

FeLV感染症の猫では、難治性の口内炎が非常に多くなります。

FeLVウイルスによる免疫力の低下や栄養状態の悪化などが、口内炎の原因だと言われています。

FeLV感染症の猫で口内炎が起こると難治性になるケースが多く、口の痛みから食欲を落として、ますます全身状態を悪化してしまうことになります。

食べるときに口を痛そうにしていたり、よだれが出ている場合には、口内炎の可能性があるので注意してください。

 

その他

皮膚炎、鼻炎、下痢といった症状が見られるようになります。

このほか、FeLV感染によって糸球体腎炎を起こし、腎不全を生じて、多飲多尿、食欲不振、体重の減少などが見られることもあります。

メス猫が感染している場合は、流産や死産などが起こったり、生まれた子猫が早期に死亡する場合があります。

 

治療

猫白血病ウイルスを退治する確かな治療法はありません。

猫白血病ウイルス感染症にともなって様々な症状が現れるため、それぞれの症状にあわせて、対症療法を行います。

インターフェロンや抗生物質、抗癌剤、免疫抑制剤などを使用しますが、十分な効果は期待できません。

貧血がひどい場合は輸血を行うこともあります。

また、猫の体や精神面にストレスがあまりかからないよう、栄養バランスのとれた食事を与え、衛生的な生活環境を用意してあげることで、日和見感染などをできるだけ抑えるようにします。

 

予防

猫白血病ウイルス感染症の最も確実な予防方法は、感染猫と接触させないことです。

そのためには以下のことを徹底するのも重要です。

 

完全な室内飼

多頭飼いの場合、感染した猫がいればその猫を別の部屋で飼ったり、食器などは消毒を徹底したりして、ほかの猫にFeLVが感染しないよう注意しましょう。

 

メス猫の避妊手術

FeLVは胎盤や初乳を通じて子猫に感染するため、ウイルスに感染した母猫には避妊手術を施し、今後繁殖を行わないようにします。

 

オス猫の去勢手術

オス猫には去勢手術を施して、放浪癖を弱めると同時に、他のオスと争う機会を減らします。

また性衝動に起因するストレスを軽減することは、免疫力が低下した時の二次感染を防ぐうえでも極めて重要です。

 

ワクチンの接種

FeLVワクチンの感染防御率は100%ではないのが残念ですが、一番有効な感染の防御方法ですので、FeLVに感染していない猫には1年に1度、FeLVワクチンを打っておくことをおすすめします。

 

FeLV感染猫との暮らしについて

FeLVに感染してしまうと、1~4年寿命が縮んでしまうという事実は否めないようですが、すぐに死んでしまうというわけではありません。

QOL(生活の質)を落とさないように気を付ければ、数年間は一緒に暮らすことができるでしょう。

気を付けるべきことは、免疫力が低下した時の日和見感染や二次感染を予防するということです。

 

以下のことに気を付けていくことが重要です。

・完全室内で飼う

・半年ごとに健康診断を受ける

・口内病変をこまめにチェックする

・リンパ肉腫をこまめにチェックする

・内部寄生虫(回虫や条虫)の駆除

・外部寄生虫(ノミやダニ)の駆除

・生肉は避ける

 
他に、
免疫力を落とさないためにうまくサプリメントを利用したり、ストレス管理をするということもとても重要です。

 

免疫力をサポートするサプリメントは、現在、※POC療法として以下の動物病院で使用されているのがお勧めです。

ブルーミントン動物病院

 

※POC療法

 

まとめ

一般的に、新生児の時点でFeLVに感染した猫の80~100%が持続感染しますが、1歳以降で感染し場合は、ほとんど持続感染しないことがわかっています。

血液検査で感染の有無がわかりますが、1回の検査では持続感染かどうかがわからないので、感染が疑われる猫は再検査が必要になります。

ワクチンも利用できますが、完全に防ぐことはできませんので、予防には室内飼育と感染猫との隔離がもっとも重要です。

そして、できるだけ元気な時間を長く一緒に過ごすためには、FeLVによって引き起こされる病気の早期発見/早期治療が大切になります。


FeLV感染症の猫との暮らしをする場合は、こまめに体調をチェックして、不調があれば早めに動物病院で診てもらうようにしてくださいね。

少しでも長生きしてくれるよう、自己免疫力をアップさせることも大事です。

東京大学医学部で研究中の「有機物の性状を持った極小粒径の炭素」が免疫細胞を元気にし、自然治癒力も高める事が期待されているので、少しでも元気に長生きしてくれる、可能性が大きくなります。

そのような、サプリメントを利用して、愛猫のQOLを維持し、飼い主さんとできるだけ長く暮らしていければいいですね。

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猫と温泉を愛する、OL。(^^♪

 

今は、猫を飼おうかどうか迷っている最中。
なぜなら、猫アレルギーがありまして。。。

 

仕事はペット関連の仕事をしています。

 

そのため犬や猫を飼っている方とお話をする機会があり、そのなかで人間と同じように病気になる子たちが多いことにびっくりしました。

 

そこで、自分が猫を飼うにあったって、病気のこととかをもう少し詳しく知りたいなと思って調べ始めました。

 

いろいろと調べるうちに、獣医さんや、ペット関連のお仕事をする方たちと、交流が生まれました。

 

その中で、興味深い情報などが聞けたりして、これは自分だけの物にとどめておくのはもったいないと思い、ブログを作り情報をお届けしようと考え、この『どうぶつの気持ち』を作りました。

 

 

 
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