【獣医師監修】猫のエイズについて 原因・症状・治療法を徹底解説 

  記事監修
  獣医師 西村 美知子 ブルーミントン動物病院院長
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)卒業後、東京都武蔵野市吉祥寺で開業、2009年に現在の東京の西荻窪に移転。 自然療法中心の病院です。検査から治療まで、精神的にも身体的にもストレスを できるだけかけずに、動物さん個々が本来持つ「治癒力」が動き出すよう、様々な 自然療法をご提供しています。

猫のエイズ(FIV)について考えよう

猫のエイズは、猫免疫不全ウイルス(Feline Immunodeficiency Virus : FIV)と呼ばれるウイルスによる感染症です。

名前の通り、FIVの感染・発症によって猫の免疫機能が低下し、様々な免疫異常を示したり、感染症にかかるようになり、それに合わせた症状を示すようになる病気で、最終的には死に至ります。

しかし、猫のエイズは、実際にFIVに感染しても、症状を発症するまでの間が数年かかるケースもありますし、中にはFIVに感染したけど、なんの症状もなく(発症せず)一生を過ごすケースもあります。

とはいえ、多くのFIVに感染した猫は、何かしらの症状に苦しむことが多いです。


このように猫のエイズは非常に厄介な病気なのですが、実は飼われている猫のうち、外に出る猫では、この猫免疫不全ウイルスの感染率が23.1%という非常に高いデータがあり、恐ろしい病気にもかかわらず蔓延してしまっている現状があります。

実際に動物病院でも、ウイルス検査で陽性(感染している)となるケースを多く経験します。

ちなみに、FIVが犬や人間に感染することはありません。飼い主さんの皆さん、その点はご安心くださいね。

 

猫のエイズに罹りやすい猫腫は?

データ上は、純血種よりも雑種猫の方が、FIVに多く感染しているという報告があります。

しかし、これは、外に出る猫が圧倒的に雑種が多く、決して遺伝的な要因や品種特有の要因として猫のエイズにかかりやすいというわけではありません。

また、同じ理由で、メスよりもオスの方が、猫のエイズにかかっている割合が多いと言われています。


これは、基本的に猫のエイズはケンカ傷からのウイルス感染が多く、メスよりもオスの方がケンカする機会が多いため、その分FIVに感染する機会が多くなってしまうことによります。

 

原因

猫のエイズは前述の通り、FIVというウイルス感染が原因です。

FIVの感染は、ほとんどがケンカによります。

 

接触感染

FIVは主に、FIVをたくさん含む唾液が、ケンカ傷を通して猫の体内に侵入することにより感染します。

 

垂直感染

母子感染といって、産道や母乳中に存在するFIVが、母猫から子猫に感染してしまうケースもあります。

そのためこういった子猫が検査で陽性と出た場合は、本当にFIVに感染しているかどうかを調べるために、1歳前後になったら再び検査をする必要があります。

 

症状

猫のエイズの症状は、感染してから発症するまでの時期によって異なります。

ここでは、【急性期】【無症候キャリア期】【持続性全身性リンパ節症期】【エイズ関連症候群期】【エイズ期】に分けてご説明します。

 

【急性期】

FIVに感染して間もなくの頃に現れる症状です。

発熱とリンパ節の腫れが主な症状ですが、この時期の症状は数日で自然に改善してしまうため、飼い主さんの方も気づきにくく、また動物病院に来院されるケースもほとんどありません。

 

【無症候キャリア期】

急性期の後のこの時期は、ほとんどなんの症状も見られません。

平均的にはこの無症候キャリア期は2年〜4年の間と言われていますが、数ヶ月で次のステージに移行してしまうケースもありますし、一方で一生、この時期で過ごすケースもあります。

いわゆる表には症状が出ないものの、ウイルス自体は猫の体内のリンパ球を着々と攻撃している「潜伏期間」と言えます。

しかし、この時期は症状がなくても、ケンカなどで他の猫に感染させてしまうリスクはあるため注意が必要です。

 

【持続性全身性リンパ節症期】

名前の通り、リンパ節の腫れが見られます。

しかしそれ以外の症状はほとんど認められず、やはり飼い主さんの方が気づかないことが多く、また実際に動物病院でこの時期の猫を診察することは多くありません。

無症候キャリア期やこの時期は、健康診断や別の要因で検査した時に偶然見つかることがほとんどです。

 

【エイズ関連症候群期】

この時期になると、明らかなFIVの発症による症状を認めるようになります。

しかし、FIVは免疫力の低下を引き起こすだけで、直接、目に見える症状が出るわけではありません。


実は猫のエイズの症状のほとんどが、 FIVで免疫力が低下した結果、様々な免疫異常や感染などの病気にかかり、そのことによって、症状を示すようになるのです。

つまり、かかる病気によって症状の出方が異なり、非常にバリエーションに富んだ症状を示すようになります。

その中でも最も多く見られるものは、『口内炎』と『歯肉炎』です。

実際に動物病院に来院するエイズの猫のほとんどの症状がこの2つです。

さらにはデータ上でも、口の症状を持つ猫のうち、37%の猫がFIVに感染しているというものがあります。

この時期に見られるその他の症状には、咳やくしゃみ、目やに、目の充血、皮膚炎などがあります。.

 

【エイズ期】

この時期なると、ほぼ猫の免疫機能はなくなっていて(免疫不全)、様々な感染症にかかっていきます。

病的な細菌感染やウイルス感染はもちろん、日和見感染と言って、もともと猫の皮膚などに存在し、猫にとって無害あるいは逆に有益に作用している細菌や真菌、あるいは毛包虫というダニの一種が、異常増殖して、皮膚炎など病的な症状を引き起こしてしまうようになります。

これらの日和見感染では、皮膚の症状はもちろん、体重減少、元気食欲の低下など全身症状が見られるようになります。

そして最終的には発作や昏睡状態など命に関わる状態に陥ることになります。


さらには、この時期には、腫瘍(癌)の発生も多くなることがあります。

また、赤血球や白血球、血小板など血液中の細胞成分が作られなくなり、貧血や内出血といった症状を示すこともあります。

 

治療法

残念ながら、現在は猫エイズ自体を直接退治するような治療方法・特効薬はありません。

あくまで発症を遅らせたりするような治療方法を取ることになります。

猫のエイズの治療は大きく分けて、『FIVを抑えるための治療』と、『様々な症状を改善させるための治療』があります。

 

FIVを抑えるための治療

今のところFIVを確実に抑え込む治療方法は確立されていません。

人間のエイズウイルス(HIV)の治療薬を応用することで、多少の効果が得られている報告はあります。

それによると、FIVによる口内炎などの症状が改善したケースがありますが、その一方で、副作用として血液中の細胞成分が作られなくなったり、あるいは治療薬が効かなくなる耐性が問題にあることがあります。

そのため、FIVを直接治療する方法は、一般的にはほとんど行われていないようです。

 

様々な症状に対する対症療法

猫のエイズの対症療法は積極的に治療が行われています。

 

直接的に症状を改善させる治療

猫のエイズで最も多く見られる口内炎や歯肉炎に対しては、痛み止めや抗生物質を用います。

 

サプリメントを使った治療

消炎効果のある不飽和脂肪酸のサプリメントや、インターフェロンを使った免疫増強作用のある治療などがあります。

ブルーミントン動物病院では、免疫力を向上させる効果が期待される植物由来のナノレベル(超極小)な有機質の炭素(POC、Plant-derived Organic Carbon)を用いて治療や病気の予防を実践されています。

POC療法とは


化学物質は一切入っていない素材なので様々な病気の予防のつもりで普段使いも推奨されています。
東京大学医学部で効果が実証されている優れものでこれからの動物医療を変えていくことが期待されています。

欧米の医療ジャーナルに発表された論文の日本語翻訳版(PDF)

 

この他、一部あるいは全ての歯を抜歯することで口内炎と歯肉炎を改善させる治療もあります。

 

もちろん、抜歯には全身麻酔が必要で、それなりのリスクを伴いますが、抜歯により症状が改善できると、猫自身の生活がかなり楽になります。

また、ステロイドによって炎症をコントロールする治療もあるようです。

しかし、これらの治療に対する猫の反応は様々で、薬が効果的な猫もいれば、サプリメントが効果的な猫もいます。


また抜歯によって「治ったんじゃないのか?」と思えるくら元気になる猫もいれば、残念ながら抜歯をしたとしても口内炎が改善しない猫もいます。

そのため、多くの動物病院では、複数の治療方法を組み合わせて実施することが多いと思われます。

 

薬とサプリメントの違い

また、抜歯のようにリスクを伴う治療、あるいはステロイドやその他の薬のように副作用のリスクがある治療では、リスクを取る分、治療の効果も比較的即効性が期待できます。

その一方で、不飽和脂肪酸などのサプリメントを用いた治療は、副作用などのリスクが少ない分、効果が現れるまでに時間がかかることが多い傾向があります。


西洋医学の治療方法では限界があるため、補完代替療法などを活用して、免疫療法と平行して行うことで、高い治療効果をあげている動物病院もあるようです。

補完代替療法は、人間の癌をも完治させる力があるともいわれていますから、もし、こういった免疫療法に興味のある方は、そちらを調べていき、そのような治療を行っている動物病院を訪ねてみるのもひとつの手であると感じます。


※免疫療法   動物の免疫力をあげることで、腫瘍やウイルスと、戦う力をつけていくようにする治療方法です。


免疫力を維持・自己免疫力を高めるには

現在、代替療法の柱の1つとなりえる  POC療法 がお勧め


万能とはいえませんが、他の西洋医学の治療方法とセットで使っていきながら、猫の免疫をあげていければ、なんらかの効果が期待できるのではないかと個人的には思います。

 

予防法や注意すること

猫のエイズはFIVによる感染症ですので、まずは感染しないようにすることが重要です。

日本では外で暮らす猫のFIV保有率は高いと言われていますので、基本的には外に出さないようにすることが一番です。

また、FIVの感染はケンカ傷からの感染がほとんどですので、オスの猫は去勢手術をして少しでも攻撃性を減少させることも有効かもしれません。


一方、FIVに感染してしまった場合は、他の猫に感染させないためにも、やはり外に出さないようにすることが重要です。

また、FIVに感染しても無症候キャリア期であれば、日常生活はなんら問題なく過ごせます。

ですので、無症候性キャリア期に植物由来の有機性の極小炭素(POC、Plant-derived Organic Carbon)などの免疫調整作用のあるサプリメントを導入することは、少しでも発症リスクを下げられる可能性がありますので、個人的にはお勧めしています。

 

まとめ

猫エイズは決定的な治療方法が今のところない恐ろしい病気です。

猫同士の喧嘩を減らし、完全室内飼いにすることが予防につながりますし去勢・避妊手術をすることによって、大部分は感染を防げます。

また、キャリア持ちの状態であっても、他の猫との接触を断ち、ストレスのかからないような環境で過ごさせることが大切です。

免疫力を高められるように日々の生活を過ごしやすいものにしてあげましょう。

もちろん、日頃からウイルスにかかりにくくするべく、免疫力向上のための手法を講じてあげることが最も大事です。

免疫力を維持・向上させるには、上記リンクでご紹介の手法をご検討してみてはいかがでしょう。可愛い愛猫のためにも!

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猫と温泉を愛する、OL。(^^♪

 

今は、猫を飼おうかどうか迷っている最中。
なぜなら、猫アレルギーがありまして。。。

 

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そのため犬や猫を飼っている方とお話をする機会があり、そのなかで人間と同じように病気になる子たちが多いことにびっくりしました。

 

そこで、自分が猫を飼うにあったって、病気のこととかをもう少し詳しく知りたいなと思って調べ始めました。

 

いろいろと調べるうちに、獣医さんや、ペット関連のお仕事をする方たちと、交流が生まれました。

 

その中で、興味深い情報などが聞けたりして、これは自分だけの物にとどめておくのはもったいないと思い、ブログを作り情報をお届けしようと考え、この『どうぶつの気持ち』を作りました。

 

 

 
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